扉のうた
夜の帳おりた 草木も眠る丑三つ刻 静寂を縫うように 忍び歩きゆく はだしの足の裏 冷えた空気がまとわって 小さく身を震い 先を急いだ ああ闇の中では何も見えぬと言うのに ああその手を伸ばすことをためらった 暗がりの中佇む影 触れてみるまで気づけない 不意の衝撃派手な打音 扉の角に顔ぶつけた 突然の事態に 一瞬何が起きたのか それすら判らずに 痛みに悶えた ああ闇の中光がちかちか瞬く ああ星が散るってこういうことなのね ようやく立ち上がり扉の 無事を確かめ安堵する どうして扉閉めなかった 後悔してももう遅い 一瞬の手間を惜しむばかりに 強打した僕の顔面 どうして明かりつけなかった 後悔してももう遅い 三日たってもまだ痛い