銀のきらめきと青い鳥
物心がついた時に、既に両親はおらず、 少年は小さな妹と、二人きりだった。 生きる術なんて盗むくらい。 相棒は奪った錆びついた剣だけ。 牙をむき、刃を振るい、奪い、儚い命をつなぐ。 希望の光などありはしない《人生》の中で。 それでも、彼はただ生きる。 今日をやり過ごすために。 時が流れ、兄妹たちは成長したけれど、 生きる術は、それまでとは何も変わらない。 ある日、帰り道、漂う血の香。 かけつけた路地には、ひとり地に伏す娘。 紅に染まる掌、熱が失われてゆく身体。 彼の大切な《最愛の妹》が壊れた瞬間。 それでも、彼はまだ生きた。 終わる術を知らぬから。一人きり残され、どう生きろというのか すべて呪いつくせど、何もわかりはしない 無情な旅路で、道標さえも失くし 彼の青い鳥はもういない全てを失った彼が立つ、その地の名前は《人生》。 奪い奪われるそこで、ただ剣を振り続ける。 紅に染まる夕暮れ、抜きはらわれた銀のきらめき。 終に見たその光を、彼は美しいと思った。